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2016.4.29
インターナショナル・ダンス・デイ メッセージ


 
2016年:レミ・ポニファシオ(振付家、演出家、舞台美術家、芸術家/サモア)

©MAU
©MAU

カラキア ―― 祈り

宇宙に触れよ
宇宙はわれらが神性の源
子らの顔が見えるように
先祖の顔を
照らしてくれる

上へ横へ下へと織りあげられた
すべてを肉と骨
記憶のなかで
結びつけよ

地球はまわり
人類は集団で移動し
亀は集いて静かに備え
心は傷を負う

ダンスを
愛の動きとなせ
正義の動き
真実の光となせ

レミ・ポニファシオ

* * *

Lemi Ponifasio

 サラ・レミ・ポニファシオはサモア出身の振付家、演出家、舞台美術家、芸術家(「サラ」はサモアの族長の肩書き)。世界の地域コミュニティーやアーティストと連携し、改革を促すことを旨に1995年、ニュージーランドのオークランドでダンスカンパニー「MAU」を設立した。MAUとはサモアの言葉で「真実の表明」を意味する。

 独自の系譜を打ち立てたポニファシオの作風は、従来のダンスの定義を打ち破るラディカルなものだ。その芸術世界において、彼は厳格な美学 ――黒と反転を多用する幻想的なイメージのパレット、儀式で生け贄に捧げられる肉体、腹の底に響く音響、光と闇―― に基づくスローなリズムを使い、現代人を意識の別次元へと誘う。作品発表の場はアヴィニョン演劇祭、ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック、ドイツのルール・トリエンナーレ、エディンバラ・フェスティバル、トロント・ルミナート・フェスティバル、パリ市民劇場、オナシス文化センター(アテネ)、サウスバンク・センター(ロンドン)、ホランド・フェスティバル(アムステルダム)、ウィーン芸術週間、ベルリン芸術祭、サンティアゴ・ア・ミル国際フェスティバル(チリ・サンティアゴ)、プラハ・カドリエンナーレ、ヴェネチア・ビエンナーレなど世界各地に及ぶ。

 2015年の作品に『Lagimoana』(第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展)、演出を手がけたレーモンド・マリー・シェーファー作曲のオペラ『Apocalypsis』(ルミナート・フェスティバル)、『I AM: Mapuche』があり、2016年にはチリの先住民マプチェ族のアーティストと組み、サンティアゴ・ア・ミル国際フェスティバルで『MAU Mapuche』を上演した。

 2014年には第1次大戦開戦100周年を記念した『I AM』がアヴィニョン演劇祭での初演の後、エディンバラ・フェスティバル、ルール・トリエンナーレ、オークランド・アート・フェスティバルを巡演。ほかに権力の本質と監視社会のあり方に迫る『Crimson House』(2014年)、マオリ族の女性たちが言葉といにしえのチャントを通じて生命力の伝達者となる『Stones in Her Mouth』(2013年)、カール・オルフのオペラ『プロメテウス』(2012年、ルール・トリエンナーレ)、国外退去処分におびえながら居場所を探す移民コミュニティーの問題を帝都ベルリンに問う『Le Savali : Berlin』(2011年)、所属ダンサーの大半の故郷でもある太平洋の島々を水没の危機にさらす地球温暖化に警鐘を鳴らした『Birds With Skymirrors』(2010年)、9・11同時多発テロ後の世界における権力とテロリズム、そして国家権力の違法な乱用を取り上げた『Tempest: Without A Body』(2008年)などがある。

翻訳:雨海弘美