今期のレクチャーシリーズの最終回は吉川恵美子さん(上智大学教授)をお招きして『人権をめぐるラテンアメリカ演劇を考察する』と題してお話いただきました。
今回のお話は、最初にご紹介いただいたコロンビアの演出家Santiago Garciaの『われわれにとって演劇とはluxury(贅沢なもの)ではなくnecessity(必要不可欠なもの)である。』という言葉から始まりました。そして、お話を伺っていくうちに、現在も紛争が絶えないラテンアメリカ社会での現代演劇の神髄はこの言葉にあると思えました。
最近上演の盛んになったパフォーマンスを貫いている「私の体は誰にもかさない。自分の思いを自分の体で演じる。物語はいらない。社会に連動して自分の演劇がある。」という思いも同質のものだと感じました。
また、ラテンアメリカ演劇が国際的な認知をされ始め、Magdalena Projectという世界の女性演劇人をネットワークで結ぼうとする国際組織の試みなども伺いました。
その後、見せて頂いた実際の上演作品の映像や写真も胸をつくものでした。