2024.3.31
NO.135

『ロリエ・ゴードロが目覚めた夜』 
寄稿:山上 優

カナダ・ケベック州の劇作家ミシェル・マルク・ブシャールの代表作を上演

これまで日本でも何度も紹介されているカナダ・ケベック州の代表的劇作家ミシェル・マルク・ブシャールのサイコ・ミステリーを緊密な描写にてリーディング上演。


 2021年9月に開催された、Plays 4 Covid~コロナ禍で生まれた海外戯曲~の池袋の劇場へ、戯曲翻訳部会の新入部員として、お手伝いに参りました。私は同年度にITIの会員になったばかりでしたが、企画、制作に関わっていらっしゃる方達には既知の俳優、演出家がいらしたので、コロナの状況下での活動に畏敬の念すら抱きながら参ったことを覚えています。そこで、戯曲翻訳部会のその後の自主企画として、「ジェンダー」をテーマにした戯曲を紹介したいというお話を初めて伺いました。これが発端となり、テーマの重なる、自分が翻訳したばかりの戯曲が手許にあったので、2022年の夏、思い切って部会で作品提案をしました。形式はリーディング公演で行うとし、先ずは部会で承認を頂き、Plays 4 GENDER企画の第一弾「カナダ・ケベック篇」ということでITI主催事業として開催する決定を頂きました。そこからは、疾風迅雷のような準備期間でした。2023年春から、公的助成金申請、著作権契約、会場選定、キャスティング、制作業務を、実行委員として事務局と連携を取りつつ、ほぼ毎日行うという日々でした。申請した二つの助成金とも不採択という不運に見舞われ、予算案の抜本的な修正が必要になりました。途方に暮れていた時、予てより協力金のみならず様々な支援を下さっていたケベック州政府在日事務所の文化担当官久山さんが、またアイデアを下さり、励ましてくださいました。同作品がTVシリーズ化され、日本でもBS10スターチャンネルさんによって折しも配信されており、そちらからも後援を頂くことができました。6名の俳優と1名の音楽家は公演の一月前に顔合わせをし、十数回の濃密な稽古期間を経て本番を迎えました。西早稲田の高台にあるトーキョーコンサーツ・ラボで全6ステージを無事に終えることができました。本番には永井会長もご来場下さり、アフタートークで温かいコメントも頂戴しました。来場者からのアンケートも紙媒体、Webアンケートとも多数頂きました。翻訳者としては、ケベックフランス語圏の戯曲を紹介できたことをとても嬉しく思っております。事務局を始めご尽力下さった皆様に心より感謝申し上げ、ご報告とさせて頂きます。

文責:山上優(翻訳・演出家)

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