ITI第37回世界大会 参加報告
寄稿:中山夏織
2024年9月18日~23日、ベルギーのアントワープ&オランダのデン・ボッシュの2都市開催の第37回ITI世界大会に、日本センターから永井多恵子会長、演出家の小池雅代さん、角本敦さん、そして私が参加いたしました。
●総会
前回の2023年2月、フジャイラでの第36回大会の折のアナウンスでは、異例な時期だが「フェスティバル」に合わせて開催する、だから選挙は行わない旨が説明されていましたが、その後、役員選挙に対する異議申し立て等、それに伴うITI憲章の変更を経て、改めて実施された次第です。しかし、世界情勢を反映してか、10カ国の代表がビザ取得できず参加できないという事態となりましたが、新憲章のもとメールによる事前投票、オンライン投票も可能となり、遂行されました。
●会長選
Guy Coolen (ベルギー・フランダース) 19
Yvon Wilfride Lewalet Mandah (コンゴ共和国) 1
Ivanka Apostolova Baskar (北マケドニア) 0
Jessica Kaahwa (ウガンダ) 37

圧倒的な票差で新会長に選出されたのは、ウガンダのジェシカ・カーウワ女史です。とても知的で優雅な雰囲気をたゆたえながらも、力強さを感じさせる新会長です。一方、理事会の選挙は、昨年の選挙で選出された理事会メンバー12名のうち7名(フジャイラ、USA、イタリア、インド、スーダン、ドイツ、ブルキナファソ)が立候補しないという事態のもと、理事に立候補していた18名から、第1回目の投票で10名が選出され、会長を含めて最低12名のメンバーを必要とすることから、第2回目の投票で残る1名が選出されました。結果は、アラブ諸国からヨルダンとモロッコ、ヨーロッパ諸国からキプロス、ジョージア、ベルギー・フランダース、アフリカ諸国からガーナ、ジンバブエ、アジア太平洋諸国から中国、韓国、南北アメリカからブラジル、チリです。
フジャイラでアジアからの選出がなかったこと等を鑑みるに、バランス感覚のとれた結果となりましたが、欧米の大国が執行部にいないことが今後どう影響するのかという若干の懸念が残りました。

驚かされたのは、長年、ITIを率いてきた事務総長トビアス・ビアンコーネ氏の勇退の発表でした。次回の大会までに退任することとし、後任として指名されたのが、現在、Deputyを務めるCHEN Zhongwen女史です。英語・フランス語・中国語を駆使する才媛で、現在のITI本部財政を支える上海政府との協力関係のためにも重要な人事です。尚、次回の大会開催地として、ブラジル(リオデジャネイロ)とベトナムが立候補しています。
●「紛争地域の演劇」委員会への参加
フジャイラでの開催以来、ほとんど動きが止まったままでしたが、イタリアのファビオ・トレッディ氏のリーダーシップのもと再開、まずはアーカイブ化を進めるとのことでした。委員会の席上でウガンダのジェシカ女史の「戦争や紛争はその最中だけの問題ではなく、その痛みやトラウマは長く続く」という言葉を受けて、日本センターとして、『この子たちの夏』の映像のアーカイブ提供を申し出、受け入れられました。


フェスティバルは多岐にわたる「ワーキング・イン・プログレス」作品を集めたユニークなものでした。全ての作品を見ることは叶いませんでしたが、作品のみならず、地域の劇場、アートセンターに集う人々の雰囲気を堪能いたしました。アーティストと語らいながらの運河のボートクルーズ等、貴重な機会も楽しみました。永井会長も積極的に多くの国々のセンターの方々とコミュニケーションをとられ、日本センターにとって、次へとつながる有意義な参加になったと思われます。最後に、たいへんお世話になったベルギーならびにオランダのホスト、また中国の事務局に感謝の意を表したいと思います。
中山夏織(プロデューサー・翻訳/ITI日本センター理事)