2025.3.31
NO.136

「ワールド・シアター・ラボ」2024~2025「戯曲読解ワークショップ」「リーディング上演」
寄稿:櫻井拓見

©おおたこうじ
©おおたこうじ

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海外現代戯曲の翻訳と上演を行う「ワールド・シアター・ラボ」、今年度はアメリカの戯曲『囚われの本質』の読解ワークショップ、エジプトの戯曲『You Bury Me』の読解ワークショップとリーディング上演を実施。

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 「ワールド・シアター・ラボ」は、海外で創作された現代戯曲の翻訳とその上演を通して、次代を担う翻訳者の紹介・発掘、また、同時代の世界の現実をよりよく理解する視点に触れることを目的に、2020年度よりスタートしました。

 5年目となる今回は、毎年恒例となっている「戯曲読解ワークショップ(オンライン)」「リーディング上演」に加え、新企画「戯曲翻訳ゼミナール」も実施しました。「戯曲翻訳ゼミナール」の内容詳細については、素晴らしい進行役として参加者を導いてくださった監修者の谷岡健彦さんにお任せし、ここでは今年度の「戯曲読解ワークショップ(オンライン)」と「リーディング上演」についてご紹介します。

 「戯曲読解ワークショップ(オンライン)」は、アメリカの戯曲『囚われの本質(The Nature Of Captivity)』(作:マシュー・ポール・オルモス)とエジプトの戯曲『You Bury Me(You Bury Me)』(作:アフラーム)の二作品をそれぞれ四日間ずつの日程で行いました。
 『囚われの本質』は、昨年、ワールド・シアター・ラボの企画「翻訳者育成プログラム」で翻訳した戯曲です。ファシリテーターの生田みゆきさんと翻訳者の渡邉奈津希さんが参加者とたくさん議論を交わしながら、独特な構成と世界観を持つ作品を紐解いていく豊かな時間が生まれていました。
 『You Bury Me』は、リーディング上演に先駆けてのワークショップ実施となりました。エジプトの社会背景を翻訳者の一川華さんが解説しながら、ファシリテーターのEMMAさんが丁寧に読みすすめていく進行によって、参加者がどんどん作品世界に没頭していく様子が見られました。

 「リーディング上演」(会場:上野ストアハウス)では『You Bury Me』を3ステージにわたって上演しました。全員がオーディションにより選出された20~30代の俳優7名を演出の大澤遊さんが巧みにまとめ、笑いに溢れた活気のある座組を作りあげました。
 また、「戯曲読解ワークショップ」からの改訂を経て、エジプトの若者が語る言葉を日本の若者の話し言葉に見事に変換させた一川さんによる翻訳と、一見シンプルながら、緻密な演出で目の離せない空間構成を行った大澤さんの演出手腕が相まって、観客満足度の高いリーディング上演となりました。

 育成事業である「ワールド・シアター・ラボ」としては当然の帰結ではありますが、年を重ねるごとに、翻訳家、演出家、俳優、テクニカルスタッフ、そして翻訳戯曲そのものが、あるものはブラッシュアップされ、あるものは関係性を深め、またあるものは成長後の再会として、様々な形で育成の現場として実りが生まれています。これまで支えてくださった皆様に感謝を申し上げますとともに、今後も引き続きお見守りいただけますよう、よろしくお願いいたします。

櫻井拓見(「ワールド・シアター・ラボ」ディレクター)

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