『国際演劇協会日本センター復刻資料集 1951-1961』発行について

 公益社団法人国際演劇協会(ITI)日本センター(会長 永井多恵子)は、1951年5月に創設され(創設時の会長は高橋誠一郎〈経済学者、第一次吉田内閣の文部大臣〉)、すでに3/4世紀にわたる歴史を有している。
 当センターが、現在まで途切れることなく続いている「国際演劇年鑑」の発行を始めたのは、1973年のことである。2023年には、「年鑑」が創刊50周年を迎えている。

 ITI日本センターでは、発足当時の資料(会員向けのニュースレターである「ITI通信」など)の一部が事務所内にそのまま保管されていた。そこで、現事務局では、それらの記事を元に、日本センターの設立に至る経緯、設立当初の日本の舞台芸術のあり方と世界との関わり方、日本と海外の演劇・舞踊関係者との交流に当センターが果たしてきた役割等について、当時の資料を基に点検・再読を試みた。結果としては、残された資料の時代ごとの精粗の差があり、設立以来の全期間について十分な情報を得られたわけではなかったが、ある程度資料がまとまって残されており、時代の状況を推測することが可能な草創期の10年余(1951–1961)について、「復刻資料集」をまとめて刊行し、後世に伝えたいと考えた。

 この企画に対して、2022-2023年にクラウドファンディングのプラットフォームであるモーションギャラリーで賛同・寄付を募ったところ、多くの皆さまからご厚志をいただくことが出来た。こうして、復刻資料集編纂のための原資を得て編集作業にとりかかったのではあるが、前例のない取り組みであるために作業は事前に想定した以上に難航し、完成までに想定を超える時間を要し、ようやく刊行にこぎつけたのは、2025年の夏になってからであった。

 「復刻資料集」の内容の一部を紹介すると、例えば以下のようなものがある(「復刻資料集」目次等より)。

・日本センター設立を促すITI本部からのレター

・ITI日本センターの創立趣意書と創立世話人

・初代理事長北村喜八

・ITI日本センター設立時の会員と評議員(名簿)

・「国際演劇月」の開催(パンフレット)

・ITI世界本部(パリ)の定期刊行物『世界演劇』、『世界初演』の紹介

・能楽ヴェネツィア・ビエンナーレ公演プログラム(1954年)

・国際演劇祭「テアトル・デ・ナシオン」(リーフレット)

・「国際演劇協会日本センター 小史と名簿 1961」

 以上は、掲載した資料の中のほんの一部にすぎないが、これらの資料は、事務所内に未整理のまま保存されていたものを点検・再読し、資料価値があると思われるものを選び出し、それぞれの年代ごとに編集をおこなったものである。これらの資料によって、当センターがこれまで日本と海外の舞台芸術交流に果たしてきた歴史的な役割や、日本の劇団、劇場、興行会社等、関与した関係者の事績などが広く後世に伝わるよう、大いに活用していただけることを期待している。

 なお、本「復刻資料集」の刊行に当たって、公益社団法人日本演劇興行協会による発行協力をいただいたことを特に付記しておく。

 この「復刻資料集」は、全国の公立図書館に献本を行っている(全185機関)。閲覧をご希望の方はご照会されたい。


曽田修司(ITI日本センター常務理事・事務局長) 

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