会長挨拶

公益社団法人国際演劇協会日本センターは、国際演劇協会(International Theatre Institute)のメンバーとして、約70の国・地域と連携しながら「舞台芸術・演劇・舞踊」を通じ、ユネスコの平和理念の下、活動しています。
しかし今、世界は争乱と混迷が止まず、各国からの報告も殺戮や飢餓を訴える声に満ちています。我が国もまた、80年前の戦乱を知る人々が減少する中、平和への生きる指針を失っているかにみえます。
2026年1月、日本センターが「ステージ・リーディング」として上演したメキシコ系アメリカ人作家による『囚われの本質』では囚われた者の苦しみと捕らえなければ生きられない者の底知れない絶望が伝わってきました。
目を蔽うような残虐な行為を行う兵士も一輪の花を愛でる者も同じ人間なのです。「演劇」はこの「人間を深く見つめる」という時間を人々に提供しているのです。
世界の人々の考え方は民族、宗教、習慣によって、実に多様です。時として我々はそのために違和感を感じ、憎しみさえ感じることもあります。それらの違いを同じ人間として受け止め、理解し、共感を呼び起こす力があるのが「俳優の身体言語」を通じての演劇だと思うのです。
ITI日本センターは誠に微力ながら、この信念をもとに、人間の真の力、演劇の力を信じ、これからも平和へ向けて活動していきたいと思います。
公益社団法人 国際演劇協会日本センター 会長
永井多惠子