【『イサク殺し』作家からのメッセージ】
(1)2020年12月9日 初演に先駆けて
親愛なる観客の皆様
この戯曲『イサク殺し』は、戦争へと突入する人間の衝動や、またそれらの戦争があらゆる戦場で兵士や一般市民に強いてきた耐えがたい苦痛を取り上げた作ですが、これを上演することにしたITI日本センターの決断に非常に感動しています。あなた方の国は1945年から戦争に参加していませんが、第二次世界大戦のトラウマは今もあなた方の文化と芸術に表れており、それゆえにこの劇のイスラエル人のキャラクターたちの苦痛に共感することが可能なのだと確信します。この劇が、戦争の無益さについての公共の言論を促し、戦争はそこに至る前に到達できなかった政治的解決をもたらすものではないという認識を強くしてくれますように。日本の劇場や観客との、この感動的な対話が続いてゆくことを期待しています。
モティ・レルネル
(2)2020年12月20日 終演後、映像を観て
『イサク殺し』関係者の皆様
ありがとう。今、上演を見終わりました。とても感銘を受けました。非常に感動的でした。俳優の皆さんのディヴォーション(献身、役に身を投げ出すこと)が非常に深い。皆さんの人物への感情移入は完璧に説得力を持つもので、僕の心を大きく動かしてくれました。皆さん全員に 感謝でいっぱいです。ITI、翻訳者、演出家、俳優、音楽家の皆さん素晴らしい仕事をしてくださいました。皆さんの素晴らしい芸術的スキルで、日本とイスラエルの文化的差異に橋を架けることができ、戦争の悲惨はどこの国でも、どこの大陸でも同じだということが証明できました。改めて感謝を。
モティ・レルネル
* * *
【リーディング公演】
2020年12月11日(金)〜13日(日)*全日程販売予定枚数完売
東京芸術劇場アトリエウエスト(地下1階)
*アーカイブオンライン配信は2020年12月18日(金)10:00~12月24日(木) 23:59
【紛争地域から生まれた演劇シリーズ】
世界各地のITIセンターでは、演劇を通じて平和の構築を目指す取り組みとして「Theatre in Conflict Zones」と題するプロジェクトが行われています。日本センターでは文化庁の委託事業として毎年発行している『国際演劇年鑑』の調査・研究事業の一環で、2009年から「紛争地域から生まれた演劇」シリーズをはじめました。
本シリーズではこれまで10年にわたり、日本にまだ知られていない優れた戯曲を26本、翻訳、リーディング上演、作者等によるレクチャー等を通して紹介してまいりました。3年目からは戯曲集の発行も行っています。今年は、イスラエルの作家モティ・レルネルによる『イサク殺し』をご紹介します。
なお、「紛争地域」とは対立や緊張による葛藤が生起する場所のことであり、必ずしも特定の地理的領域に限定するものではありません。
作 モティ・レルネル(イスラエル)
翻訳 村井華代
演出 小林七緒(流山児★事務所)
出演
藤井びん(ワンダープロ)
井上加奈子(アル☆カンパニー)
上田和弘(流山児★事務所)
辻京太(アンフィニー)
山﨑薫(ジェイクリップ)
伊藤俊彦
荒木理恵(流山児★事務所)
山下直哉(流山児★事務所)
佐藤正宏(WAHAHA本舗)
勝俣美秋
今野健太(THEATRE MOMENTS)
音楽 諏訪創(流山児★事務所)
【作品について】
1998年のある夕べ、イスラエル国防軍の国営PTSDリハビリセンター。家族や職員を前に、入所者らが自作の劇を上演している。今日の演目はラビン首相殺害事件。
1995年11月4日、当時のイスラエル首相イツハク・ラビンは平和集会に集まった市民の目の前で銃撃され、死亡した。撃ったのは和平に反対する25歳の極右ユダヤ教原理主義者イガル・アミル(終身刑、2020年現在も服役中)。オスロ合意が成立し、長く待望された平和がついに到来すると思われた矢先、なぜ惨事は起こってしまったのか……入所者チームの作・演出をつとめ、ラビン首相を演じるのは、退役軍人ビンデル。何度も脱線し、勝手に劇の内容を変える入所者らに翻弄されながらも、何とか進められる劇の終局とは。
イスラエルを代表する劇作家が描く、国家の深層を抉る劇。なぜ、戦争を終わらせることができないのか? セミドキュメンタリー劇中劇《ラビン暗殺》を通じて、現在も続く国家イスラエルの病理が浮かび上がる。その過激な道徳的挑発性ゆえに、ドイツ・アメリカでは上演され大反響を得たが、本国ではいまだ劇場公演が実現していない。
【作家について】
モティ・レルネル(Motti Lerner)
劇作家、シナリオライター。1949年イスラエルに生まれる。エルサレム・ヘブライ大学で数学を学ぶが、1973年第四次中東戦争(ヨム・キプール戦争)終結の後、演劇人になることを決意。戯曲のほとんどでイスラエルとユダヤ人に関わる政治的・倫理的問題を扱う。
戯曲に、1944年アウシュヴィッツ移送からユダヤ人を救い出すも、後にナチス協力者として糾弾されたハンガリーのユダヤ人弁護士の実話に基づく『カストナー』(1985)、1948年の第一次中東戦争(イスラエル独立戦争)で、イスラエル軍部隊がパレスチナ市民を虐殺したとの訴えを検証するイスラエル人男性とパレスチナ人女性の物語『告白』(2014)など。
映画シナリオも多く、ジョセフ・ファインズ主演の『Spring, 1941』(2009)では、ドイツ軍から逃れポーランドの小村に避難するも、ついには発見され処刑されるユダヤ人家族を描く。
【上演日時】
2020年
12月11日(金)19時半開演→完売となりました
12月12日(土)14時開演→完売となりました
12月13日(日)14時開演→完売となりました
*受付開始・開場は開演30分前
*アーカイブオンライン配信
2020年12月18日(金)10:00~12月24日(木) 23:59
【会場】
東京芸術劇場 アトリエウエスト(地下1階)
アクセス
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-8-1
JR・東京メトロ・東武東上線・西武池袋線 池袋駅西口より徒歩2分。
駅地下通路2b出口と直結しています。
【料金】
1500円(学生1000円)
当日精算・全席自由(30席限定)
*アーカイブ配信は1,000円
【ご予約】
予約受付開始 2020年11月9日(火)10時
Web予約 CoRich!舞台芸術
国際演劇協会日本センター/平日11時〜17時
メール ititicket@gmail.com
TEL 03-3478-2189
FAX 03-3478-7218
メールでお申込の際は件名を「紛争地域から生まれた演劇12申込」として以下5点を明記のうえお送りください。また、ITI会員の方、学生の方はその旨お知らせください。
①氏名・ふりがな、②希望日時、③人数、④電話番号、⑤ititicket@gmail.comから受信可能なメールアドレス
*会期中は090-7255-0814までお問合わせください。
本番終了後、アーカイブ配信を行います。
インターネットからお申込みいただいた後、振込対応のみの販売となります。
料金 1000円
予約受付開始 2020年11月9日(月)10:00
配信期間 2020年12月18日(金)10:00~12月24日(木)23:59
予約締切日時 12月24日(木)18:00
※クレジット決済・セブン-イレブン決済がご利用いただけます。
(セブン-イレブン決済の場合のみ、ご購入者様に別途手数料220円かかります)
ご予約(WEB限定)カンフェティチケットセンター
アーカイブオンライン配信チケットに関するお問合せ
カンフェティチケットセンター 0120-240-540(受付時間 平日10:00~18:00)
お問合せフォーム
文化庁委託事業「令和2年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」
主催 文化庁 公益社団法人 国際演劇協会日本センター
共催 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場
企画制作 公益社団法人国際演劇協会日本センター
総合プロデューサー︎ 林英樹
票券・制作補佐︎ Real Heaven
舞台監督 中野雄斗(株式会社ステージワークURAK)
アーカイブ配信映像 吉本直紀(スタジオ0033)
チラシデザイン 奥秋圭
協力
国際演劇評論家協会(AICT)日本センター
一般社団法人日本演出者協会
一般社団法人日本劇作家協会
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➣ 紛争地域から生まれた演劇シリーズ1(2009年)