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12 月11日開催 木村典子さんレクチャー


今回ご登壇いただいた木村典子さんは、韓国で「劇団木花(もっか)」の制作を10年間務められ、その後、日韓交流のコーディネーターとして活躍なさっています。「演劇と社会を繋ぐ―韓国演劇の現在と文化政策の試み」と題して、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領から歴代の大統領の時代を追いながら、文化政策の変化をお話いただきました。
最初に、韓国は資源がない国なので、文化は大きな輸出のポイントになるということを話されてから、レクチャーは始まりました。
文化政策の変遷の中で、演劇の街としてよく知られる大学路(テハンノ)についてお話しくださいました。小劇場が150〜200ぐらい集まっている演劇のメッカだった場所テハンノが、崩壊しつつある。金大中(キム・デジュン)大統領時代は、少しずつたくさんのグループへの助成が行われていた。それが盧 武鉉(ノ・ムヒョン)、李明博(イ・ミョンバク)の時代には、助成の指針が続けて「少数・集中」となり、小さな劇団で助成を受けられない団体が増え、テハンノの地価高騰もありだんだん衰退して来た。現在では、資本力のある芸能事務所等が劇場を買い取り、お笑い、ラブロマンスなどショービジネスに寄った作品が多く、もともとテハンノにあった面白さは落ち込んでいるというお話でした。
また、助成指針の変化について、次のようなお話もしてくださいました。
近年、演劇を作る側だけではなく、見る側への助成も行われている。例えばソウル市の場合は、創作集団への助成額は3分の1に減り、市民への活動、アマチュアへの助成が増加している。古い建物を再利用し、レジデンスをおいて活動する創造空間と名付けられた所は助成額が大きい。その中の一つ、文来芸術工場は、かつて鉄鋼で栄えたが、今では寂れたシャッター街になってしまった町に作られた。もともと工場あとに自然発生的に住み始めたアーティストに、作品創造の助成をする。そのことで、海外のアーティストもこの町に来るようになる。文化助成をとおして、文化だけでなく地域を活性化させ、コミュニティを再生させることを目指している。
その他にも、韓国の国立劇団が解体し、財団法人化され、ソウルにある8つの劇場にそれぞれ特徴をつけて運営していること、事後助成というシステムがあり、公演が評価された場合にはそのシステムにより再演の機会が得られるなど、興味深い事柄を、たいへんわかりやすくお話いただきました。
文責:壱岐照美
レクチャーシリーズは来年度も引続き開催してまいります。どうぞご期待下さい。

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