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【紛争地域から生まれた演劇9】ガンナーム・ガンナームさんからのメッセージ


『朝のライラック(ダーイシュ時代の死について)』の作家、ガンナーム・ガンナームさんからメッセージが届きました。

後進性と、過激主義者が宗教や神の名の下に行う犯罪。これらに反対する叫びを発するには、私には演劇しかありませんでした。ダーイシュは過激主義のもっとも顕著な例です。この戯曲を書いたのは、私が同地域で歴史上もっとも長く厳しい占領に苦しんでいるパレスチナの出身だからです。シオニスト・イスラエルによるパレスチナの占領はきわめて残虐です。私の目には、ダーイシュとイスラエルが表裏一体に映ります。『朝のライラック(ダーイシュ時代の死について)』は、こうした流血に芸術、音楽、歌、演劇で抵抗するという私の決心でした。

今日、私の叫びが日本で、日本語で響くことを誇りに思います。帝国主義や全体主義の引き起こした、史上まれに見る災禍に見舞われた日本の戦後復興に、私たちは衝撃を受けました。苦難を生きる力に変え、世界中に影響を与える人間的な資質を持つ日本の皆さんに、この戯曲を聞き、見てもらえることを光栄に思います

そして最後に。色や名前や場所にかかわらず、私たちは共に、後進性と過激主義に反対しましょう。共にこの世を作りあげましょう。

ガンナーム・ガンナーム
(翻訳=渡辺真帆)

プロフィール
ガンナーム・ガンナーム (Ghannam Ghannam)
演出家、劇作家、俳優。1955年ジェリコ生まれ。1984年から演劇活動を開始。ヨルダン芸術家連盟会員、ヨルダン演劇人協会会員。アラブ演劇協会(※)等の設立に参加。現在はアラブ演劇協会で出版・広報責任者を務めるほか、アラブ圏の多数の演劇祭で審査員を務める。代表作に故ガッサーン・カナファーニー原作の一人芝居『ハイファに戻って』。戯曲『朝のライラック(ダーイシュ時代の死について)』(2016)でのヨルダン文化省創造賞のほか、戯曲賞、演出賞を多数受賞。最新作はモノドラマ『私は異郷で死ぬ』(2017、作・演出・出演)。

※アラブ演劇協会(Arab Theatre Institute-ATI) 2007年設立。本部はUAEシャルジャ市。アラブ諸国における演劇活動、学校での演劇教育、演劇人の交流促進、若手の育成、演劇に関わる文学者(作家を含む)の文学的・経済的権利に関する意識向上や、その権利を保障するための法律・協定制定のための活動、アラブと非アラブの演劇関係者の交流促進、アラブ演劇の紹介を行う。現理事長は当協会設立者でもあるシャルジャ首長のシェイフ・スルターン・ビン・ムハンマド・カースィミー殿下。アラブ演劇祭の主催団体。

ガンナームさん

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