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【紛争地域から生まれた演劇】『イサク殺し』作家からのメッセージ


『イサク殺し』の作家、モティ・レルネルさんからの2つのメッセージです。翻訳は村井華代さんです。
(1)2020129日 初演に先駆けて

親愛なる観客の皆様

この戯曲『イサク殺し』は、戦争へと突入する人間の衝動や、またそれらの戦争があらゆる戦場で兵士や一般市民に強いてきた耐えがたい苦痛を取り上げた作ですが、これを上演することにしたITI日本センターの決断に非常に感動しています。あなた方の国は1945年から戦争に参加していませんが、第二次世界大戦のトラウマは今もあなた方の文化と芸術に表れており、それゆえにこの劇のイスラエル人のキャラクターたちの苦痛に共感することが可能なのだと確信します。この劇が、戦争の無益さについての公共の言論を促し、戦争はそこに至る前に到達できなかった政治的解決をもたらすものではないという認識を強くしてくれますように。日本の劇場や観客との、この感動的な対話が続いてゆくことを期待しています。

モティ・レルネル

(2)20201220日 終演後、映像を観て

 『イサク殺し』関係者の皆様

ありがとう。今、上演を見終わりました。とても感銘を受けました。非常に感動的でした。俳優の皆さんのディヴォーション(献身、役に身を投げ出すこと)が非常に深い。皆さんの人物への感情移入は完璧に説得力を持つもので、僕の心を大きく動かしてくれました。皆さん全員に 感謝でいっぱいです。ITI、翻訳者、演出家、俳優、音楽家の皆さん素晴らしい仕事をしてくださいました。皆さんの素晴らしい芸術的スキルで、日本とイスラエルの文化的差異に橋を架けることができ、戦争の悲惨はどこの国でも、どこの大陸でも同じだということが証明できました。改めて感謝を。

モティ・レルネル

【作家プロフィール】
モティ・レルネル(Motti Lerner)

Motti Lerner - by Zoe Grindea
撮影:Zoe Grindea
劇作家、シナリオライター。1949年イスラエルに生まれる。エルサレム・ヘブライ大学で数学を学ぶが、1973年第四次中東戦争(ヨム・キプール戦争)終結の後、演劇人になることを決意。戯曲のほとんどでイスラエルとユダヤ人に関わる政治的・倫理的問題を扱う。戯曲に、1944年アウシュヴィッツ移送からユダヤ人を救い出すも、後にナチス協力者として糾弾されたハンガリーのユダヤ人弁護士の実話に基づく『カストナー』(1985)、1948年の第一次中東戦争(イスラエル独立戦争)で、イスラエル軍部隊がパレスチナ市民を虐殺したとの訴えを検証するイスラエル人男性とパレスチナ人女性の物語『告白』(2014)など。映画シナリオも多く、ジョセフ・ファインズ主演の『Spring, 1941』(2009)では、ドイツ軍から逃れポーランドの小村に避難するも、ついには発見され処刑されるユダヤ人家族を描く。
*「紛争地域から生まれた演劇12」詳細はこちら→https://iti-japan.or.jp/announce/6993/

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