毎回ご好評をいただいているSPT×ITIレクチャーシリーズですが、来月開催の「世界の同時代演劇」をテーマとする2つの講座をご案内します。
Vol.1 『ナパジ・ナパジ』と現代オーストラリア演劇――核・民族・ストーリーテリング
講師:佐和田敬司(翻訳家/早稲田大学教授)
日時:11月13日(水)19:00~21:00
「1950~60年代にオーストラリアの砂漠地帯マラリンガで核実験が行われ、故郷を放射能に汚染されて離散を余儀なくされた先住民たちがいた。『ナパジ・ナパジ』は、アボリジニ俳優トレヴァー・ジェイミソンが、祖父母・両親の苦難の記憶と、今を生きる世代の再生を物語る作品である。『ナパジ・ナパジ』が生まれた背景、現地のコミュニティや実際の証言者たちを巻き込んだオーストラリア国内外での上演の実際、そしてヒロシマ・ナガサキへの言及と、日本で朗読上演された際に観客に与えたインパクトについて紹介する」
※『ナパジ・ナパジ』は一昨年の「紛争地域から生まれた演劇3」で取り上げた戯曲の作品名です。『国際演劇年鑑』別冊上演戯曲集に掲載されています。
Vol.2 アラブ・イスラム世界と現代演劇
講師:鵜戸 聡(鹿児島大学法文学部准教授)
聞き手:林 英樹(テラ・アーツファクトリー代表・演出)
日時:11月26日(火)19:00~21:00
「アラブの春」による権威主義的独裁体制の崩壊は、イスラム政党の台頭と世俗派との対立を加速させ、エジプトにおいては軍部の介入が更なる混乱を招いています。デモと弾圧が繰り広げられ、若者たちが命を落としていく様子は、植民地末期のアルジェリア演劇が描く世界に恐ろしく似ていると言えるでしょう。アルジェリア・レバノンの文学・演劇を研究する鵜戸聡さんに、変動の現状からカテブ・ヤシンの『包囲された屍体』(1954)まで、演劇的行為の映し出すアラブ世界の様相についてお話をお聞きし、自由に議論をしたいと思います。
会場:世田谷文化生活情報センター
受講料:各回1,000円
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