世界各地のITIセンターでは、演劇を通じて平和の構築を目指す取り組みとして「Theatre in Conflict Zones」と題するプロジェクトが行われています。日本センターでは文化庁の委託事業「時代の文化を創造する新進芸術家育成事業」として毎年発行している『国際演劇年鑑』の調査・研究事業の一環で、2009年から「紛争地域から生まれた演劇」シリーズをはじめました。
本シリーズではこれまで8年にわたり、日本にまだ知られていない優れた戯曲を23本、翻訳、リーディング上演、作者等によるレクチャー等を通して紹介してまいりました。3年目からは戯曲集の発行も行っています。今年はさまざまな関連イベントの企画も進行中です。
さて、今年の12月には・・・
ヤエル・ロネン&アンサンブル=作『コモン・グラウンド』(訳=庭山由佳)と
ハナ・モスコビッチ=作『これが戦争だ』(訳=吉原豊司)の2本をご紹介します。
会場は、東京芸術劇場アトリエウエストです。
どうぞご期待ください。
*ヤエル・ロネンさんの作品をこのシリーズで紹介するのは、第4回(2012年)の『第三世代(Dritte Generation)』(訳=新野守広)に次いで2度目です。ヤエルさんは2017年3月には国際演劇協会賞(ITI Preis 2017)を受賞しています。
(ITIドイツセンターのヨアヒム・ルクス(Joachim Lux) 会長による授賞の言葉)
ヤエル・ロネンは異文化間の抗争・紛争をめぐる作品を創り続けている。しかし!その作品は遊び心にあふれ、解放的で、軽やかで、イデオロギーをふりかざすことはなく、彼女自身もまた、モラリストでも、ポリティカル・コレクトネスを云々する人物でもない。このようなひとはこれまでのドイツの演劇界になかった―ペーター・ツァデクを除いては。ともすれば過ちを犯してしまいそうなテーマを、ヤエル・ロネンはぶれない明快さとユーモアをもって描き、ひたすら自身の人生における矛盾を追究することで観客の心の中に入っていく。(翻訳=日本センター事務局)