文化庁の「あいちトリエンナーレ2019」への補助金の不交付決定に対する理事会有志による意見表明


公益社団法人国際演劇協会日本センター理事会有志は、
文化庁の「あいちトリエンナーレ2019」への補助金の不交付決定に対する意見表明文を、
本日、文部科学大臣と文化庁長官宛に提出いたしました。

文化庁の「あいちトリエンナーレ2019」への補助金の不交付決定に対する意見表明

私たち国際演劇協会(ITI/UNESCO)日本センター理事会有志は、文化庁が「あいちトリエンナーレ2019」への補助金を不交付とすると決定したことに対し、強い疑念を覚え、決定の根拠の適切性について広く公開の議論が交わされることを求めます。

私たちは、「あいちトリエンナーレ2019/表現の不自由展・その後」(以下、「不自由展」)が、その展示内容に反対する人々からの脅迫などを含む種々の妨害行為により中止されたことを深く憂慮します。このような事態に対して、国や愛知県、名古屋市をはじめとする行政機関の果たすべき役割は、明確にそれらの妨害行為の不当性を指摘し、私たちの自由で闊達な社会を守るために、社会の中で多様な価値観を持って生きる人々の自由な表現の機会である「あいちトリエンナーレ」を擁護することです。

今回、関係各方面の努力によって「不自由展」の再開が検討されていた最中に、「あいちトリエンナーレ」の事業全体に対する補助金が不交付と決定されたことは極めて遺憾です。その理由として、「あいちトリエンナーレ」側の手続き上の瑕疵が挙げられていますが、正当な手続きを経て採択されていた事業に対する補助金の交付を後になって覆すという重大な決定の理由としてとても納得できるものではありません。

一方で、行政の要職にある人々が直接に展示内容に容喙し、公金の支出を行うべきではないとする発言が繰り返されています。

このたびの補助金の不交付の決定をこのような文脈において考えるとき、今回の決定は政府機関による実質的な検閲にあたるものとして、国内のみならず、海外からの強い批判と懸念を呼び起こすものとなります。このような「表現の自由」に対する政府機関の無理解と不寛容な態度は、日本に対する国際的な信用を失墜させ、国際社会からの敬意や共感を毀損させるものです。

私たちは、「人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理」(ユネスコ憲章前文)に基づき、他者との共生と相互理解を目指す演劇・舞踊人の立場から、芸術家の表現行為に対するこのような圧力が社会全体を萎縮させ、人々の健全な判断力を失わせることになってはならないと考えるものです。

 

2019年10月7日

 

公益社団法人

国際演劇協会日本センター

(ITI/UNESCO)

 

理事会有志