9月10日より、世田谷パブリックシアターとITI日本センターの共催で続けてきたレクチャーシリーズの第3弾がスタートしました。
講師には、現在開催されている《あいちトリエンナーレ2013》のパフォーミングアーツ統括プロデューサー、小崎哲哉さんをお招きしました。
まずは、演目選定にあたっての3つのポイントを軸にお話いただきました。
1. パフォーミング・アートとヴィジュアル・アートのブリッジになりえる作品
2. “揺れる大地――われわれはどこに立っているのか 場所、記憶、そして復活”というテーマに沿っていること
3. サミュエル・ベケット
ベケットについては、彼が探求していた「人間とは何か?」「生まれてきて死ぬというのはどういうことか」という主題がまさに“揺れる大地”のテーマに通じるということで、選定のポイントになったということです。
今回作品が上演されるイリ・キリアンとベケットのつながりをひもとく過程で、歴史的・文化的な「縦のつながり」のなかから新しいものが生まれてきていることの大切さを、キリアンと小崎さんがかわした実際の会話の内容を交えながら、ヴィヴィッドにお話下さいました。
また、ベケットが演劇のみならず、絵画、音楽など幅広いジャンルに、今も大きな影響を与え続けていることを通じて、ジャンルを超えた「横のつながり」の重要性が語られました。
ヨーロッパでは今、クロスジャンルの動きが非常に活発になっているが、日本ではその動きがあまり見られないとのことでした。けれども、短い時間の中でご紹介いただいた《あいちトリエンナーレ2013》の作品は、どれも自由な広がりを感じさせるものばかりでした。
お話をうかがって、《あいちトリエンナーレ2013》が、視覚造形芸術と舞台芸術の両方を取りあげ、その架橋性を重視しているという意義の深さを理解したように思いました。
次回は10月9日と10日の両日にわたって、ドイツ語翻訳者の林立騎さんにご登壇いただきます。テーマは「社会の変化と演劇の仕事――ドイツ語圏のモデルから実践・制度・研究のあいだへ」です。
プログラムの詳細、お申し込みはこちらです。
どうぞ、ご期待ください!