3年目となります「次代の翻訳者育成セミナー「ワールド・シアター・ラボ」」は、今年度も文化庁委託事業「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」として実施いたします。
「ワールド・シアター・ラボ」は、海外で創作された現代戯曲の翻訳と上演を通して、次代を担う翻訳者の紹介・発掘と、私たちが生きる同時代の世界の現実をよりよく理解する視点に触れる機会をつくることを目的とした事業です。
今年度の最初の企画は、8月に「海外戯曲の戯曲読解から場面を立ち上げるワークショップ」(対面実施)を実施いたします。戯曲を事前にお渡しし、ディスカッションを通して、海外戯曲の理解を深めていく参加者を募集します。奮ってご応募ください!
〈日時・内容〉
2022年8月26日(金)、8月27日(土)、8月28日(日)
北マケドニア戯曲を題材に、参加者で戯曲を読解し、グループで主体的に場面を立ち上げるまでのプロセスを実践するワークショップです。
1日目:8月26日(金)18:00−22:00(対面)
顔合わせ、戯曲音読、作品について
2日目:8月27日(土)13:00−17:00(対面)
身体を使うアクティビティ。グループワーク。役割決め
3日目:8月28日(日)13:00−17:00(対面)
ドラマツルギー分析ミーティング。グループワークと発表。フィードバック
〈作品紹介〉
『Big Deal』(北マケドニア)作:ミア・エフレモヴァ Mia Efremova
2020年、世界は置き去りにされた。あなたから。ヨーロッパから。死から。
背信、嫉妬、殺人というモチーフによって作家が紡ぎ出すのは現代の黙示録だ。そのメタリアリズム的狂想曲において、主人公である「人間」の抱える孤独―パートナーとのすれ違い、不妊、薬物依存、ヨーロッパの歴史・構造がもたらす経済格差、コロナ禍―は「離別」という相似関係を描く。
執念深すぎるほど繰り返される悔恨の台詞の果てに観客は、この主人公が「着衣の人間」と「裸の人間」へと分裂する原因となった殺人事件を目撃するかもしれないが、或いはそれは、「愛する人を”死”へ追いやった」作家自身の懺悔かもしれない。
詩情豊かで逞しいテキストに託された、生きれば死ぬ、そして愛すれば苦しむという取引(ディール)をめぐるこの物語は、主人公「人間」の送りそびれたラブレターでもあるのだ。
〈作家プロフィール〉ミア・エフレモヴァ Mia Efremova
1994年生まれ、劇作家、詩人、ライター、作家。北マケドニア、シュティプに拠点を置き、シュティプ・ナショナルインスティテューション&ミュージアムの出版・保存部門に勤務。執筆言語はマケドニア語、英語、オランダ語、スウェーデン語と幅広く、これまでの作品は、スコピエのオルタナティブ劇団テアトラ、シュティプ国立劇場、シュティプ文化会館とのコラボレーションで上演された。
2014年には、北マケドニアのビトラで開催された国際モノドラマフェスティバルおよびクロアチア、セルビア、コソボ、スロベニア、そして北マケドニアのITIセンターが共同で主催した第1回国際ドラマコロニーの一員となった。
〈ファシリテーター〉竹中香子
2011年に渡仏し、日本人としてはじめてフランスの国立高等演劇学校の俳優セクションに合格し、2016年、フランス俳優国家資格を取得。パリを拠点に、フランス国公立劇場を中心に多数の舞台に出演。2017年より、日本での活動も再開。さまざまな大学でフランスの演劇教育や俳優のハラスメント問題に関するレクチャーを行う。
2021年、3ヶ月間の研修と3箇所の教育機関での演劇教育実習を経て、「創作を支える『コミュニケーション力』を育てる」俳優教育論を書き、フランス演劇教育者国家資格を取得。現在、スイスの Theater Neumarkt との共同制作で、市原佐都子作・演出『蝶々夫人』ヨーロッパツアーに参加中。2022年クンステンフェスティバルデザールで初演を迎えた市原佐都子の新作『マダム・クリザンテーム』出演。また、太田信吾演出作品『最後の芸者たち』にコラボレーターとして参加。
〈翻訳者〉万里紗
俳優業の傍ら、2020年「A Walk in the Woods」を皮切りに翻訳者としても活動を開始。近年の作品に、「グレイト・フォールズ-大いなる転落-」(翻訳・出演)、「詩劇 響きと怒り」(企画・上演台本・演出・出演)。出演としては「ミュージカル 魍魎の匣」「Navy Pier 埠頭にて」「オロイカソング」「I Call My Brothers」など。NHKワールドJAPAN「no art, no life plus」にて英語ナレーションも務めている。22年10月、新国立劇場「レオポルトシュタット」出演予定。
【募集要項】
■参加条件 原則、全日程参加できる方。海外戯曲に関心がある方。
■定員 12名
■参加費 3,000円(全3回)
■参加方法 対面実施。都内スタジオ(参加者に個別お知らせします)
■応募方法
申し込みフォーム
所定の申し込みフォームより①〜⑧項目をご入力の上、お申し込みください。
①氏名 ②所属(あれば) ③生年月日 ④性別 ⑤住所
⑥連絡先(連絡の取れるEメールアドレスと電話番号を明記)
⑦略歴(300字以内) ⑧応募理由(200字程度)
※定員を超えた場合は選考あり
※参加者には、戯曲の粗訳を郵送いたします。
■応募締切 7月22日(金)
・当事業は、ハラスメント防止対策に真摯に取り組み、必要な対応を行います。
・参加者の方から、ハラスメントに関するご相談を受けた場合は運営スタッフが責任をもって対応いたします。
【お問合せ】
国際演劇協会日本センター事務局
メール worldtheatrelabo.itij@gmail.com
電話03-3478-2189(平日11時~17時)
文化庁委託事業「令和4年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」
次代の翻訳者育成セミナー「ワールド・シアター・ラボ」
主催=文化庁、公益社団法人国際演劇協会日本センター
企画制作=公益社団法人国際演劇協会日本センター
企画立案・プロデュース 林英樹
ディレクター 柏木俊彦
制作 村上理恵