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【Plays 4 Covid】作家紹介(2)《中国》


コロナ禍のアメリカ、中国、ドイツ、アイルランドで生まれた短編戯曲をご紹介する「Plays 4 Covid 孤読/臨読」。4回にわたって作家たちを紹介します。2回目となる今回は中国から『隔離』の作家、李健鳴氏のプロフィールとメッセージをご紹介します。公演情報はこちらをご覧ください。


『隔離』 世界初演時のちらしより


《李健鳴氏からのメッセージ》

国際演劇協会日本センターの皆さま

貴センター主催「Plays 4 Covid 孤読/臨読~コロナ禍で生まれた海外戯曲~」に拙作『隔離』の思いがけぬ参加がかないましたこと、心から感謝申し上げます。

コロナ禍が発生してから、私は当初のパニックが過ぎ、コロナ〝下〟の日常に慣らされる過程で『隔離』の執筆に取りかかりました。中国人はサーズ禍を経験していましたから、ある日突然消えてなくなるものと思いこんでいました。天上の神さまがいつもの通り我ら凡俗の者に試練を下したのだという程度の思いでした。しかし、はや1年を過ぎ、やむことのないコロナの暴威に世界が立ちすくんでいる現状を前にして、日本の演出家あるいは観客が私の作品に一種の〝楽観〟を感じ取り、不理解あるいは不満をお持ちになることは十分に理解できます。

私個人はコロナ以前の〝楽観〟をはぎ取られた痛みが瘡蓋(かさぶた)のように残り、はぎ取る度に血を流します。これは私の老齢と関係があるのかも知れません。しかし、世界に対する失望が抑えようもなくこみ上げてきます。私たちは自分自身の安逸を追い求めすぎたのではないか。物欲にとらわれすぎたのではないか。自然界に対する慎みを欠いたのではないか。これが災難となって私たちに降りかかったのではないか。だから、私たちは生活態度を変えなければならないと考えています。

私はドイツ語を学び、好きな演劇の道に入りました。若いときはブレヒトを崇拝し、現在はシェイクスピアの翻訳に没頭しています。私はまた日本の映画やテレビドラマも大好きです。私はかつて旅客船ツアーに参加して韓国からの帰り道、日本の福岡を一日だけ観光したことがあります。あまりにも慌ただしい日程でしたが、日本に好印象を持ちました。世界がもう一度開かれたら、『隔離』上演のためにお骨折りいただいた同業、友人、観客の皆さまに親しくご挨拶したいと願っています。

《プロフィール》

1943年生まれ。劇作家、演出家、翻訳家、演劇評論家。北京外国語大学卒業後、北京第2外国語学院、ゲーテ・インスティトュート北京(北京ドイツ文化センター)に奉職。1980年代に西ベルリン自由大学(Free University of Berlin)に留学(1989年、ベルリンの壁崩壊)、演劇学を学ぶ。特にブレヒトの劇作と演劇理論を研究し、『ブレヒト自伝』などを翻訳。演劇の実践活動にも参加し、北京人民芸術劇院の演出家・林兆華の文芸顧問を務め、シェイクスピア作『ハムレット』、曹禺作『北京人』、デュレンマット作『ロムルス大帝』、ブレヒト作『第二次世界大戦中のシュベイク』、ゲーテ作『ファウスト』などの共同制作に参画。

最近の翻訳は『レッシング7作品』、現代演劇のアンドレアス・ショート作『白い部屋』、ロット・ウェクマンス作『毒』、ボルヒェルト作『戸口の外で』、シェイクスピア作『ハムレット』、ブレヒト作『ガリレオ』の翻訳と構成にも当たる。作劇・演出作品は『三人の女』(作・演出)、『愛情の印象』(作・演出、史鉄生作小説『務虚筆記』から改編)。劇作は『屋上のオフィーリア』、『囲城』(銭鐘書小説『囲城』から改編)、『趙氏孤児』(元雑劇から改編)、『ゴドーを待ちながら』(ベケット作『En attendant Godot』から改編)、『大鳥』、『隔離』、『人間(じんかん)から迷走した6人の亡霊』など。

(翻訳:菱沼彬晁)

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